photoimmunotherapy 光免疫療法のブログ

胃がん末期の父に免疫療法を薦めました。当時の技術は未熟。間に合いませんでした。抗ガン剤治療の効かなくなった末期ガンの人の希望となるように最新のがん治療情報を提供します。

光免疫療法 の 限界 を 突破する 抗がん剤 との ダブル効果.

近赤外光免疫療法では、
まず
抗体と光吸収体複合体を静注します。


その後、
近赤外光照射をおこなうことで
ガン細胞を特異性にたたけるのです。


最近の研究では、
光免疫療法を用いた治療により
ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性ガンを含む
様々なガン細胞に光免疫療法が
有効であることが示されています。

しかし
大きな問題があります

近赤外光の透過性です。

近赤外線が届かない場所にあるガン細胞を
効率よくたたくことができないのです。

つまり
近赤外線の照射技術が
光免疫療法の限界となっているのです。



その問題を解決するために
光免疫療法と化学療法の両方の利点を生かした
抗体 - 薬物 - 光吸収体複合体を開発しました。

Bioconjug Chem。
2017; 28(5):1458-1469。
doi:10.1021 / acs.bioconjchem.7b00144



抗ガン剤メイタンシノイド(DM1)を
抗体(トラスツズマブ)と結合し、
抗体 - 薬物・光活性化剤の
複合体(T-DM1-IR700)を作製しました。


HER2発現細胞における
ガン細胞毒性効果を比較することで、
T-DM1-IR700による光照射の可能性を評価しました。


コントロールには
抗ガン剤メイタンシノイドの結合していない
T-IR700を用いました。


結果として
T-DM1-IR700は、
培養細胞およびマウスレベルの実験で
いずれも
T-IR700とほとんど同じ
HER2 結合能を示しました。

T-DM1-IR700を用いた場合には、
標的細胞障害能をもつDM1が存在するため、
T-IR700を用いた時よりも
高い細胞傷害性を誘導する傾向がありました。



次に
マウスレベルです。
十分な近赤外線光を受けることができる
皮下小腫瘍モデルにおいては、
T-DM1-IR700は、
T-IR700とあまり差はありませんでした。

一方、
十分なNIR光を受けられなかった
大型腫瘍モデルにおいては、
T-DM1-IR700は、
T-IR700と比較して、
腫瘍体積を減少させ、
生存率が有意に延長しました。



つまり
抗ガン剤DM1による細胞傷害性が加わったことで
充分なNIR光照射をおこなえない腫瘍にたいしても
アプローチできる可能性がでてきました。


感想
抗ガン剤を結合する抗体に結合することで
効率よく抗がん剤がガン細胞に届きます。
さらに
光照射をすることで
ガン細胞は破壊されます。

技術はどんどんと進化しています。


現在は
頭頚部ガンにのみ臨床試験
行われていますが、
近いうちに
同時進行で
様々なガンに対して
光免疫療法の治験が始まると思います。

一人でも多くのがん患者さんが
希望を持てますように
また
現在、
抗ガン剤も効かなくなったがん患者さんたちにとっては
「光免疫療法」は一筋の希望です。

免疫療法は怪しいという
イメージがあります。

実際に、
私の父親は
樹状細胞免疫療法を受けましたが、
いまだに効果があったのかどうかは
わかりません。


一方、
光免疫療法は
メカニズムや効果が
いずれもはっきりとしています。


父親が生存していれば
できるだけ早く
光免疫療法の治験を
受けるように行動したと思います。



すべてのガンが
治療できる日が早く来ますように。